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コナンは3人いる?|未来少年・名探偵・本家コナンと音楽の違い

こんにちは、響です。

「コナン」という名前の主人公は、主に3作品に登場します。
『未来少年コナン』『名探偵コナン』『コナン・ザ・グレート』――それぞれの作品を音楽の視点から比較してみます。

まずはかつてNHKで放送されていたアニメ『未来少年コナン』。
長寿作品として知られる『名探偵コナン』。
そして、ヒロイックファンタジーの『コナン・ザ・グレート』です。

どれも主役は「コナン」。
しかし作品の世界観も違えば、そこで使われている音楽もずいぶん違う。

そこで今回は、この三つの「コナン」と音楽の違いについて、少し考えてみたいと思います。

未来少年コナン|冒険のコナンと音楽

まずは『未来少年コナン』。
NHK枠で放送されていた作品です。

キャラクター造形がいわゆる「宮崎アニメ」に近いと感じるのは当然かもしれません。
制作スタッフには宮崎 駿(みやざき はやお)や高畑 勲(たかはた いさお)が参加していました。
この作品の音楽を担当したのは、池辺 晋一郎(いけべ しんいちろう)。

池辺 晋一郎は日本を代表するクラシック作曲家の一人でもあります。
音楽は正統派で、音をきれいに積み上げていくタイプ。
オーケストレーションは安定感があり、旋律もどこかノスタルジックです。

主題がはっきりしていて、それがきちんと展開していく。
この部分は、交響曲の書法にも少し近いのかもしれません。

いわば交響的アニメ音楽

未来少年が駆け回る世界は、広い空と大地。
そのスケール感を、オーケストラが素直に支えている――そんな印象があります。

なお、この作品は後のスタジオジブリ作品へとつながる、宮崎 駿の初期代表作でもあります。
もっとも、音楽の系譜は少し違います。

『未来少年コナン』は池辺 晋一郎による交響的なオーケストラ音楽。
一方、後のジブリ作品では久石 譲(ひさいし じょう)が音楽を担当しています。
そのため、ミニマル音楽や映画音楽の手法を取り入れた独自のスタイルが確立していきます。

アニメの系譜はつながりながら、音楽はまた別の方向へ発展していく。
その違いを見るのも面白いところです。

名探偵コナン|推理のコナンと音楽

次は『名探偵コナン』。
現在も放送が続き、毎年のように映画が公開されている作品です。

耳なじみという点では、このコナンが一番かもしれません。
音楽を担当したのは、大野 克夫(おおの かつお)。

元スパイダースのメンバーという経歴を持つ作曲家です。
印象的なメインテーマは、ジャズ・フュージョンを基盤にしています。

少し不安定な和声。
リズムの刻み。
サックスを中心とした都会的なサウンド。

テーマ旋律は何度も登場し、編曲を変えながら繰り返されていきます。
どこかスタイリッシュで軽やか。
緊張感がありながらも、どこかスマート。

未来少年が「大地の物語」なら、名探偵は「アスファルトの物語」。
同じ“コナン”でも、音楽の足場はまったく違うのが面白いところです。

ちなみに『名探偵コナン』では、クラシック音楽が物語のモチーフとして使われることも多く、

などが登場します。

特に有名なのが、「月光ソナタ殺人事件」と呼ばれるエピソードです。
静かな島を舞台に、ピアノから流れる《月光ソナタ》が事件の鍵になる構成で、シリーズの中でも印象的な回として知られています。
クラシックに詳しくなくても、このエピソードで《月光》の名前を知った人は多いかもしれません。

コナン・ザ・グレート|英雄のコナンと音楽

最後は『コナン・ザ・グレート』。

主演をつとめたアーノルド・シュワルツェネッガーの映画で印象に残っている人も多いかもしれません。

元になったのは、ロバート・E・ハワードによるヒロイックファンタジー作品です。
映画音楽を担当したのは、ベイジル・ポールドゥリス(Basil Poledouris)。

重厚なブラス。
低音を強調したリズム。
そして力強い主題の反復。

どこかワーグナー的なモチーフ展開を思わせる音楽です。
未来少年が「空と大地」、名探偵が「都市」だとすると、こちらは「神話」。

音楽の重心が低く、地面から振動が伝わってくるような響き。
凶戦士という一面を持つコナンを、音のスケールで体現しているようにも感じられます。
映画音楽というより、交響詩のような世界に踏み込んでいる――そんな印象もあります。

三人のコナンと音楽

三つの作品を並べると、音楽の方向性もかなり違います。

  • 未来少年コナン:交響的な冒険音楽
  • 名探偵コナン:ジャズ系の都市音楽
  • コナン・ザ・グレート:神話的な映画音楽

どのコナンも音楽の方向性は見事に違っています。

これは、同じ「コナン」という名前でも、「少年冒険譚」「都市型ミステリー」「英雄神話」と、物語のジャンルがまったく違うからでしょう。
物語が違えば、音楽もこれほど姿を変えるのです。

「コナン」という名前の意味

ところで「コナン」という名前自体にも、少し面白い背景があります。

Conan(コナン)はケルト系の名前で、古い言語では「小さな狼」という意味を持つとされています。
ここでの狼は、力強さと知恵の象徴。

この名前が広く知られるようになったきっかけの一つが、ロバート・E・ハワードの「コナン・ザ・バーバリアン」でした。

一方、日本で「コナン」という名前が広く知られる理由としては、推理小説の存在も大きいでしょう。
『名探偵コナン』の主人公・江戸川コナンの名前は

  • 江戸川乱歩
  • アーサー・コナン・ドイル

この二人の推理作家の名前から取られています。

つまり「コナン」という名前には

  • ファンタジーの英雄
  • 推理文学の系譜

という二つの文化の影響が重なっているのかもしれません。

そして実際に、三人のコナンはそれぞれ異なる世界を生きています。
音楽の方向性も、まったく違うものになっています。

もっとも、三人のコナンの中で個人的に一番好きなのは、やはり『未来少年コナン』です。

さわやかな風と大地を感じさせる音楽。
空と海の広がる世界。
あの作品の音楽には、どこか懐かしい広がりがあります。

同じ「コナン」という名前でも、冒険、推理、神話。
世界が違えば、音楽もまったく違う姿になる。
三人のコナンは、そのことを教えてくれる面白い例なのかもしれません。